ラグビー選手の田淵慎理です。
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私のことについて【田淵慎理のプロフィール】 | 田淵の部屋 (shinri678.com)
この記事の目的
YOUTUBEにスーパーラグビーパシフィック2023のハイライトが毎試合後にアップされています。
(22) SUPER RUGBY PACIFIC & TRC – YouTube
そのNZチームの試合について、視聴した中で気が付いたことをメモしています。
現役ラグビー選手の観戦の目線を知っていただけるとありがたいです。
解説する試合
可能であれば、ハイライトを見ながら、同時にこの記事を読んでいただけるとよりわかりやすいかと思います。
ぼく自身もスマホでハイライトをみながら、パソコンで記事作成しました。
前半戦
シーン① 基本のプレーをハイレベルでも難なくできるのがいい選手
最初はブルースのトライ。
ゴール前の中央ラックから左をアタックした後に右に戻ってくるプレー。
8のパスタイミングが絶妙。
結果的に13にパスしましたが、いつでも2にパスできるオプションを持ちながらプレーしています。
これによって、ディフェンスが迷っているのが見えますね。
ディフェンスラインはスライドできなくなり、1対1の状況が連続して生まれています。
最後は1がコンタクトのミスマッチをうまく使い、倒れながらのパスがつながりトライ。
このようにフォワードの選手が、表と裏のオプションを持ってプレーするのは、近年のスタンダードスキル。
スタンダードスキルをハイレベルでも普通にプレーできるのが、いい選手であり、いいチームだと個人的には思っています。
シーン② ペナルティゴール
ハイランダーズのペナルティゴール
シーン③ ハイランダーズがギャップを狙うもミスからカウンター
ブルースがミスボールをひろって走り切ってトライ。
最初に、ハイランダーズの10がギャップを狙います。
それは、ラックサイドのブルースの選手が、ハーフにプレッシャーをかけ過ぎて生まれたスペース。
一瞬の判断はさすがですばらしいですね。
しかし、そのあとにサポートした選手とのパスのタイミングが合わず、、、
そのままスコアされてしまう形になりました。
私は、ラックサイドのディフェンスでは、このようなハーフへのプレッシャーはリスクのほうが大きいと思っているので否定的です。
プレッシャーに行った選手はその後のディフェンスラインには参加できません。
このシーンでは上手く止めて、カウンターになりましたが、個人的にはそんな風に感じましたね。
シーン④ 常にチャンスを狙うウイングの選手の姿勢
ブルースがペナルティ獲得からクイックスタートでキックパスがつながりトライ。
ペナルティ獲得からすぐにスタートして反対サイドの奥のスペースにキック。
もちろんスペースが見えているのがすばらしい。
でももっと注目は、キックの瞬間にディフェンスで下がっていたはずのウイングが、誰よりも早くスタートを切っているところ。
これは映像でも良くわかります。
ここでの反応の早さがトライにつながった要因ですね。
ウイングとキックした選手とでコミュニケーションが取れていたのだろうと思います。
もしかすると、このレベルなので自然と反応していたのかもしれませんが(笑)
シーン⑤ パスしたらサポート、基本プレーが生んだトライ
ここは中央のラックからシンプルに相手を引き付けてパスをつないでトライ。
ラックからボールが出る時点で、奥のサイドにブルースの選手2人。
それに対して、ハイランダーズは6人で守ってしまっている。
ということは、手前のディフェンスラインの人数は絶望的に足りてない。
ボールが出た時点でほぼビックゲインは確定な状況。
さらに注目は、トライした13の選手。
自分がパスしたあともサポートしてまたボールをもらってトライ。
ひとつ仕事をしてもさらに次のプレーへ参加する運動量の高さを見ることができました。
実際この選手がいなければ、トライにはなってないと考えると大きなプレー。
「パスしたらサポート」というのは、小学生でも教えられるようなプレーですが、
サポートがなぜ大切なのか?
トライにどうつながるのか?
がよくわかるプレーだったと思います。
シーン⑥ 長くて速いパスはそれだけで大きな武器になる
ハイランダーズのトライ。
ゴール前でフォワードの連続サイド攻撃。
これまでのチーフスやクルセーダーズは、ゴール前でフォワードはあまり移動しない傾向。
しかし、ハイランダーズのフォワードは全員が同じサイドに走っているように見えますね。
トライになったプレーは、9からフォワードの裏でバックスが2人ポジショニング。
そこをすべて飛ばして、もう一つ外のバックスの選手へパスしたプレー。
長くて早いパスができるハーフでないと難しいプレーだと思いましたね。
長いパスは、スピードが遅い場合、ボールが空中にある時間でディフェンスに対応されてしまうからです。
ハイランダーズはオールブラックス不動のハーフであるアーロンスミスが不在の中ですが、同じようなプレーができるハーフがいるのがすごいなとレベルの高さを感じました。
シーン⑦ デザインされたハイランダーズらしいトライ
ゴール前中央のスクラムからハイランダーズのトライ。
スクラムを意図的に押して、奥のサイドのフランカーがディフェンスに参加できない状態を作っているのが分かります。
その後、6から9と13の両方にパスするオプションがあるアタック。
9のうしろには10もいるので、かなり守るのは難しい。
また、このプレーでは13の選手の走るコースとタイミングが難しいですが、
(ディフェンスを見ながら、6とタイミングも合わせる必要がある)
そこをカンペキにこなしているところにレベルの高さを感じました。
しかし、ブルースも12がシンビンになっているのでそれが影響しているとも思います。
後半戦
シーン⑧ ゴール前の逆サイドアタックは効果的
ブルースゴール前のラックからトライ。
ゴール前でフォワードが2回アタックしてからバックスでさらに同じ方向へアタック。
その後、逆サイドに18が走りこんでトライ。
ここでブルースがハイランダーズを上回ったポイントはラックからの起き上がりの早さ。
トライになったシーンでは2回目のフォワードアタックをした3人がスペースに走っている。
それに対して、空いていたスペースは本来2回目にタックルしていたハイランダーズフォワードが埋めておきたいスペースでした。
また、他のハイランダーズのディフェンダーたちも足が止まっている選手が目立っていますね。
そのスペースを見逃さずアタックした9番もすばらしいと感じました。
前節から、この逆サイドアタックはよく見られるプレー。
この後の試合でも見ることが増えてくるかもしれませんね。
シーン⑨ みんなが走るチームはトライが取れる
ブルースのトライ
ここでは、全体としていつも攻撃に参加しようとするブルースの選手たちの動きが目立っていたと感じました。
ハイランダーズの選手は攻撃と関係ないサイドの選手の足が完全に止まっている気がします。
運動量の差か、交代選手のタイミングなどの差かわかりませんが。
最後のフェイズでは、パスを受けた15の選手に注目です。
一度内側を向いてから外側ステップしてからパスすることで相手ディフェンスを2人引き付けてパスしてますね。
映像ではわかりづらいですが、すこしディフェンスのタイミングをずらしているので、外側のディフェンスも巻き込む状況を作ることができたプレーです。
シーン⑩ ただのインターセプトではなくリスクを取った結果のトライ
ハイランダーズボールのスクラムアタックをインターセプトしてブルースのトライ。
これはハイランダーズとしてはよく見るアタックでした。
通常パスするであろう裏(バックドア)の選手を飛ばして外側の選手にパスするプレー。
シーン⑥みたいな感じですね。
そこをブルースは完全に読んでいて、プレッシャーをかけたという印象。
しかし、よく見るとブルースのバックスのディフェンスはスタート時点で5人が並んでます。
なので、裏のスペースには1人しかいないことになり、そのリスクを取った結果がインターセプトのトライにつながりました。
シーン⑪ 超人ウイング、マーク・テレア
ハイランダーズのキックからカウンターでブルースのトライ
カウンターのトライはここまでなかなかなかったので、これがニュージーランドのラグビーという感じ。
14番マーク・テレアが1人で5人くらい抜いてるのでシンプルにすごすぎる。
しかも、スタメンで出場して77分の時点でこのパフォーマンスが出せるのはもはや超人。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の試合では、めちゃくちゃすごいみたいなプレーはあまりなくて、基本のプレーをハイレベルの選手でもやっているし、ハイレベルだからこそ基本が大切と教えてくれているような気がしました。
しかし、ブルースは今季もかなり強いですね。
何人がオールブラックスに選ばれるでしょうか?
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